ちょうど1年前にFacebookに投稿した内容です。反響が大きかったので、思い出したようにブログにしておきます。
とても長文ですが、今子育てをされている方、これから子育てをされる方には是非とも読んでいただきたい内容です。多くの方に知っていただきたい内容です。
書籍が売れず、子供たちも本を読まなくなっているという話をよく聞きます。
塾講師をしている間、親御さんから「子供が読書をしない」「どうやったら子供が本を読む様になるのか」「どういう本を読ませたら良いのか」という質問を受けます。
本を読んだら国語の成績が上がると思っている方が多い様ですが、そんなものは幻想に過ぎません。無理です。
確かに、実際問題としては読書の数が多いほど、文章の読解力は高くなり、国語の成績は上がるでしょう。
おい、言ってることが違うじゃねえか!と怒られるかもしれませんが、どちらも事実です。
本を読むという行為を好きか嫌いか。大きな命題はコレです。別の言い方をすると、文章を読む力があるかどうかで前者にもなれば後者にもなります。
例えばあなたが初めてゴルフをやるとします。いきなりクラブを持ってコースに行っても、ロクな結果にはなりません。整備されたコースに大穴を開け続け、同行者を散々待たせ、長大なコースを右へ左へ池の中へ。もう二度とやるもんか!!と思うはずです。
例えばあなたが初めて麻雀をするとします。積み方も難しいしどっち周りかも知りません。上がり役も知らなければ、符計算って何?テンパイしたらリーチだよね。あ、それです!!え、チョンボ?フリテン?え、罰金???もう二度とやるもんか!!と思うはずです。
本を読むのも同じようなことです。文章を読む力がない子供に、本を読めってのは酷な話です。中学生になっても文節を分けて読むことすら理解しない子供もいます。親は、教師は、一体何をしてきたのでしょう。本を読め!読書をしろ!!とただいうだけでは意味がありません。
友人の大学教授に聞いて驚いたのは、段落構成というものの存在を知らない学生がいるということです。この学生は、今までどんな教師に教えられてきたのでしょう。その学生の学習能力が低いことは事実だと思います。けど、それはその人物の能力全てが低いことを示しているわけではありません。その知識を授けることができなかった教師の『教師としての能力』が低かったことを理解しなくてはな入りません。
では、どのようにして文章読解能力を上げれば良いのかを考察します。
文章の読解力が上がるということは、文章の要旨を理解するということが第一、そして文中に出てくる様々な事象がどう絡んでいるかということを俯瞰的に理解することができるということであり、当然ながら国語以外の成績も上がり、特に英語の読解、和訳や英作文でも点数をとりやすくなります。
一つ目。まずは幼少期の読み聞かせ。これはとても大事だと思っています。読み聞かせをしない親はほとんどいないと思いますが、そこから読書につなげる努力をした親は、これまたほとんどいないのではないでしょうか。
それまで親御さんに読んでもらって、それこそ暗唱できるほど聞き込んだお話。絵本。そこには、素敵な絵と共に、全てひらがなが並んでいます。あるいは、漢字が書かれていたとしても、そこにはルビが振られています。自分で読むことができる気がするのです。読書の喜びを初めて体験できる瞬間です。
二つ目。文節を分けて読む。
あのね、昔々ね、あるところにね、おじいさんとお婆さんがね、すんでいましたよ。
これ、小学生の時に習いますよね。
文節分けをできるということは、文章を理解しているということです。小中学生に文章を読ませると、面白いことがわかります。文章を理解し文節分けをできる生徒は、初見の文章をすらすらと読むことができます。
反対に、この力が備わっていない子供が読む文章は辿々しく、切れ目もおかしいのです。
またこの時、前者は2〜3文節を目で読み、頭の中のキャッシュに溜めてから口で発声します。そして、発声しながら次の2〜3文節を目で読み、頭の中のキャッシュに溜めてから口で発声します。そして、、、以下繰り返しです(笑)
黙読する時も、この能力を持つ子供と持たない子供の間には、文章の理解力には天と地ほどの差が開きます。これはそのまま「読書を好むか好まないか」に直結しますし、テストの点数にも結び付きます。
三つ目。段落を意識して読む。なぜ段落を分けるのか。段落。それは作者が内容を理解しやすくするためのテクニックです。読者に対し『この文章の塊は一つの繋がった内容である』ことを明示してくれているのです。
四つ目。主題を読み解く。って書くと難しく聞こえますが、要するに何を伝えたいのかを考えるってことです。
閑話休題。
自分が去年買った本は2冊。雑誌は1冊。今年はいずれも買っていません。文章を読む力はそこそこあると思いますし、文章を書くことも嫌いではありません。
では、なぜ本を買わないのか。本を読む時間がないからです。
読書は暇つぶしの一つだと思っているので、読書をしないってことは暇がないってことです。自分も、小中高の頃はそこそこ読みましたが、大学に入ってからほとんど買っていません。本を読む様な暇はありませんでした。大学時代に買った本のほとんどを思い出せるほどです。ほとんどは趣味に関する実用書ばかり。小説は村上春樹を数冊、大藪春彦を数冊、片岡義男を数冊。随筆の類はゼロ。まあ、それでも漫画は読みました。
息子が小中学生だった頃を振り返ると、我が家にあった漫画の本を、息子はほとんど読んでいると思います。あとは学童保育所に置いてある本はほとんど読んだ模様です。いずれも、やることがない時の暇つぶし。その流れで、子供向けに流行った漫画や小説は夢中になって読んでいました。幸いにも、文章読解力はそれなりにあった様です。家にある漫画というのは僕が好きだった漫画なので、自然に親子の会話のベースにもなりますし、息子が成人した今でも、考え方のベースとして理解し合えるのではないかと思います。
塾講師(母の介護のために休職中ですが)という立場から語ると、好き放題にネトフリ・アマプラ・YouTubeなどで視聴したり、好き放題ゲーム三昧をしている子供は、確実に成績は悪くなります。当たり前の話です。エンタメを楽しむのは良いのですが、ですがココに学びはほとんどありません。エンタメから得る知識もそれなりにあるとは思いますが、生活に役立ったり、試験や受験に役立つものはほぼ皆無です。例えば鉄腕ダッシュならば、理科社会の基本知識の宝庫です。ゲームだって、桃鉄を真剣にやった子供は、全国の名産品や地域情報をちゃんと知ってます。ですが、こればかりじゃダメなのは誰の目に明らかなのではないでしょうか。
ちなみに、ネトフリやアマプラなどの映像垂れ流しメディアとYouTubeの違いがここにあると思ってます。YouTubeのコンテンツも玉石混交ですが、自分が学びたいという気持ちがあれば、それにあったコンテンツを幾らでも視聴できます。苦手な学習内容、例えば因数分解。因数分解で検索すれば、山のような解説動画が出てきますよ。
話を戻します。
家庭環境はとても大事です。幼少期から漫画を含む書籍に触れることがなく、エンタメしか流れない映像コンテンツになれると、知りたい・調べたい・知識が欲しいという欲求が生まれなくなる様に思います。
親としては、この点だけは避けたいとず〜っと思っていて、息子には中学校に入学した頃からMacを自由に使わせてはいました。その上で、ネトフリやアマプラは導入しませんでしたが、YouTubeは好き放題見させていました。いろいろな疑問を検索して映像を見て理解を進めた様です。
まとめ。
昔に比べ、子供が本を読まなくなるのは現代社会の自然な流れです。同時に、幼少期にネトフリなどの映像を見せて放置することは学力低下に直結します。
子供たちの周りに様々なエンタメ(およびやること)が存在しています。
アニメ、ゲーム、ネトフリ、アマプラ、YouTube、Tver Hulu、学校に行く、友達と遊ぶ、塾に通う、宿題をする、習い事に行く。
これだけやることがあって、その上で読書???
そんな面倒なことをする訳がありません。ましてや文章を理解する力がなければ尚更です。
読み聞かせから、音読へ。文節分けを気にしつつ本を読む。たったこれだけで、小中学校での生活に、とても大きな違いが出ます。文章読解をできていないという事実に大学生になってから気が付いたとしても、そこから挽回するのはかなり厳しいのです。
最後についでのお話。
息子が小学生の頃、息子の遊び仲間が数人我が家に来た時、みんなで名探偵コナンを見ていました。自分も仕事をしながら見ていました。コナンって、伏線がたくさんあるじゃないですか。様々な伏線があり、その伏線の回収をすることにより、コナンが様々な大人(主には警察官だったり探偵だったり)にさりげなくアドバイスをし、最後には誰かを眠らせ(それ、犯罪だけどw)、変声機によって事件の全貌を語ります。
コナンのストーリーが進むにつれ、勘のいい(つまりは読解力がある)子供たちが「これが伏線だね」「だね。さっきの○○の話と繋がるよね」なんて会話をするわけ。そうすると、ある子が「え、伏線?どういうこと?」と質問する。この繰り返し。ちなみに、最初の会話をしている子供たちは音読をすらすらと読める子供たちで、いつも質問している子供は音読が苦手でした。学校公開(授業参観)には足繁く通い、彼らのその後を細かく観察していましたが、中学生になってもそれは変わらず、例の音読が苦手な子は国語の成績は低迷していました。
ドラマを見ていても、読解力が低いとストーリーを理解できないんじゃないかなって疑問があったのですが、最近、母親と生活をする様になって、その疑問はある程度正しいと理解する様になりました。放っておけば朝から晩までテレビを見続ける母ですが、実はストーリーをほとんど追っていません。認知症と診断され、病院と老健に合わせて1年間。その後、一緒に生活する様になって半年。会話レベルでは認知症はほぼ解消されている様に見えますが、展開が速いドラマはストーリーに付いていけません。それでも、風景として楽しんでいる様です(笑)
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